クリスティ文庫

A・クリスティ『バートラム・ホテルにて』

A・クリスティ『バートラム・ホテルにて』ミス・マープルシリーズ。 タイトルと古式ゆかしいホテル内の描写 特にお茶やお菓子や英国ならではのゆったりした 上流階級の過ごすホテル内の様子は 英国好きならたまらなく魅力的。 この部分だけでもこの作品を読…

A・クリスティ『ハロウィーン・パーティ』

A・クリスティ『ハロウィーン・パーティ』 ポアロ物。長編。 ご存知ミステリ作家のオリヴァ夫人が ポアロに事件を持ってくる。 嘘ばかりついてる少女が「殺人を見た」発言の直後に パーティー中に殺害されてしまう。 普通だったら、今回だけは彼女は真実を…

A・クリスティ『暗い抱擁』

A・クリスティ『暗い抱擁』 メアリ・ウェストマコット名義作品。ノンミステリ。 「背表紙のあらすじを絶対に先に読んではいけない」 という忠告をネットで読んでたのが助かりました。 これ、ほとんどネタバレですね。先にあらすじ読んでたら 面白みが半減し…

A・クリスティ『死への旅』

A・クリスティ『死への旅』 ノンシリーズ。冒険物。 東西冷戦で引き裂かれたヨーロッパの西側陣営で 次々と失踪する科学者。 ひょんなことからその事件に巻き込まれる主人公ヒラリー。 彼女がその事件に巻き込まれる件が巧いって思いました。 強引さもなく…

A・クリスティ『複数の時計』

A・クリスティ『複数の時計』 ポアロ物。長編。 タイピストのシェイラは、仕事依頼を受けて訪れた部屋で 見知らぬ男性の死体を発見。 その部屋の持ち主は盲目の女教師で、そもそも仕事依頼をしていないと言う。 なぜかその部屋には同じ時刻を指す複数の時計…

A・クリスティ『カリブ海の秘密』

A・クリスティ『カリブ海の秘密』 ミス・マープルもの。 今回マープルは、セント・メアリ・ミード村ではなくて 高級なイメージ漂うカリブ海での静養、という設定。 しかしどんな所でも彼女は編み棒を手放さないんですね。 犯人に油断させるのはいい武器かも…

A・クリスティ『娘は娘』

A・クリスティ『娘は娘』 メアリ・ウェストマコット名義のノンミステリ。 クリスティ作品の中でも別名義は苦手だな と改めて感じた作品。 クリスティ文庫100冊に入ってなかったら 敢えて読もうとは思わなかった気がする。 中盤までは主人公に感情移入す…

A・クリスティ『死人の鏡』

A・クリスティ『死人の鏡』 「厩舎街の殺人」 「謎の盗難事件」 「死人の鏡」 「砂にかかれた三角形」 の4篇からなるちょっと長めの短篇集。 すべてポアロ物。軽く楽しむのにはちょうどいい長さと質でした。 自殺か他殺か? 最初の「厩舎街の殺人」ではク…

A・クリスティ『鳩のなかの猫』

A・クリスティ『鳩のなかの猫』 ポアロもの。ポアロものなんですが、知らなかったらノンシリーズ かと思ってしまいそう。ポアロの印象薄いです。 中東での革命勃発からダイヤの紛失 そしてイギリスの女学校で起こった教師の謎の連続死。 これらがサスペンス…

A・クリスティ『葬儀を終えて』

A・クリスティ『葬儀を終えて』 これは見事にクリスティにしてやられた作品。 最初の導入部から計算し尽されたミステリで 私の中ではかなりのお気に入りにランクイン。 「だって、リチャードは殺されたんでしょ?」 というセリフによって登場人物だけでなく…

A・クリスティ『バグダッドの秘密』

A・クリスティ『バグダッドの秘密』 ノンシリーズ。スパイ物。 誰が味方か誰が敵か? ハラハラするストーリー展開は面白い。 クリスティのスパイ物の面白さは トミー&タペンス物で折り紙つきなので 今回も安心して読めます。 ただし主人公のヴィクトリアに…

A・クリスティ『鏡は横にひび割れて』

A・クリスティ『鏡は横にひび割れて』 マープル物。長編。 これは以前映画を見て、犯人も被害者もハッキリ覚えている作品。 タイトル名が全然違ってたけど読み始めてすぐにわかりました。 それくらいに印象深い作品。 主人公を演じてた女優があまりに有名だ…

A・クリスティ『死者のあやまち』

A・クリスティ『死者のあやまち』 ポアロ物。長編。 たまに登場する推理小説家のオリヴァ夫人。 彼女が登場している作品を読むのは これで3回目なんですが、何と最初読んだ作品では 限りなく怪しいと思ってましたヨ(笑) 高慢なポアロが振り回される様子…

A・クリスティ『さあ、あなたの暮らしぶりを話して 』

A・クリスティ『さあ、あなたの暮らしぶりを話して 』 クリスティの2番目の夫である、考古学者マックスとの旅行記。 シリアでの発掘旅行の顛末を、世界的なミステリ作家というより 考古学者の妻として、愛すべき夫の仕事に同行している様子が ユーモアを交…

A・クリスティ『マギンティ夫人は死んだ』

A・クリスティ『マギンティ夫人は死んだ』ポアロもの。長編。 マギンティ夫人が撲殺された過去の事件を スペンス警視からの依頼で再調査するポアロ。 しかも犯人として捕まった男は死刑を確定されている! いつもながらに会話を通して相手の心理を深読みす…

A・クリスティ『死の猟犬』

A・クリスティ『死の猟犬』 ノンシリーズ。短編。 クリスティにしては珍しく(と、私が思ってるだけなのか) 怪奇的・ホラー的な作品が並ぶので、ミステリ好きには好みが分かれそう。 ちなみに私が一番好きだったのは、 唯一のミステリ作品である「検察側の…

A・クリスティ『ポケットにライ麦を』

A・クリスティ『ポケットにライ麦を』 ミス・マープル物。長編。 クリスティお得意のマザーグースの童謡を模した連続殺人。 殺された上に洗濯バサミで鼻を挟まれるという屈辱的な辱めを受けた マープルの知り合いの女中が気の毒で、 犯人に対する怒りが沸々…

A・クリスティ『満潮に乗って』

A・クリスティ『満潮に乗って』 ポアロ物。長編。 ポアロ物にしてはあまりに地味なタイトルで ノンシリーズかと思ってました。 読後、内容はまさにタイトル通りと実感でき このタイトルの良さが味わえるんですヨ。訳者、巧い。 そして今回も恋愛要素はバッ…

A・クリスティ『ねじれた家』

A・クリスティ『ねじれた家』ノンシリーズ。 ねじれた家に住む心のねじれた老人が、多額の遺産を残して毒殺された。 ねじれた家に住む家族はどの人もどこかしらねじれた部分があって、 孫娘ソフィアの恋人であるチャールズは、ロンドン警察副総監である父親…

A・クリスティ『ホロー荘の殺人』

A・クリスティ『ホロー荘の殺人』 ポアロもの。 大好きなポアロものだけど、 今回の灰色の脳細胞は完全に休眠状態。 ポアロ自身が、演じられている劇を観ている 観客の一人という印象です。 彼の快刀乱麻的な推理を期待しないで ノンシリーズとして読むと楽…

A・クリスティ『死が最後にやってくる』

A・クリスティ『死が最後にやってくる』 ノンシリーズ。 紀元前2000年のエジプトが舞台。歴史ミステリ。 古代エジプトの死生観など興味深く読める作品ではあったし クリスティ作品ならではのロマンスや、人が次々と死んでいく恐怖 意外な犯人など読みどころ…

A・クリスティ『謎のクィン氏』

A・クリスティ『謎のクィン氏』 短編集。 主人公は人間観察が大好きな初老のサターウェイト氏と 素性が全くわからない謎のクィン氏。 表立って事件解決していくのがサターウェイト氏で 彼に事件解決の指摘をして姿を消すのがクィン氏。 これが恋愛絡みの事…

A・クリスティ『春にして君を離れ』

A・クリスティ『春にして君を離れ』 ノンシリーズ。 クリスティが別名義で発表した小説で ミステリではないので、殺人・犯人・謎解きがありません。 サスペンスでもなく、ただ一人の女性の紀行文の体裁を 整えているのだけなのに、心理描写だけで こんなに…

A・クリスティ『忘られぬ死』

ノンシリーズ。ローズマリーが亡くなって1年。自殺と処理されたのだが 夫が徐々に疑問に思い、真相を探るべくある罠を仕掛けるのですが・・・。 今回はポアロもマープルも登場しないけど レイス大佐やケンプ主任警部(バトル警部の元部下)が登場するので …

A・クリスティ『五匹の子豚』

ポアロもの。過去に有罪判決を受けたカロリンはその後獄死してしまい 16年後、母の無罪を信じた娘カーラがポアロに事件の再調査を依頼します。事件に関係している5人の一人一人に、マザーグースの『五匹の子豚』 を当てはめてるポアロですが、事件とは直…

A・クリスティ『白昼の悪魔』

A・クリスティ『白昼の悪魔』 ポアロもの。のどかな避暑地での残酷な殺人事件。 またしても殺人事件に巻き込まれてしまったポアロは 灰色の脳細胞をフル活動させて事件を解決していくのですが 今回はアリバイ崩しが中心となります。 どうやって犯行時間を作…

A・クリスティ『魔術の殺人』

A・クリスティ『魔術の殺人』 ミス・マープルもの。今回の舞台はセント・メアリ・ミード村ではなく、 マープルの学生時代である友人・キャロラインの自宅。 超大金持ちのキャロラインは自宅で非行少年達の厚生施設を運営しており その夫ルイスは極端な理想…

A・クリスティ『愛国殺人』

A・クリスティ『愛国殺人』 ポアロもの。 怖い物などなさそうなポアロが、憂鬱そうに歯科医院に 出掛ける様子はなかなかかわいい。 と思っていたら、その担当医がその日のうちに自殺。 殺される原因も自殺する原因も見つからない。 さらにポアロの後にその…

A・クリスティ『殺人は容易だ』

A・クリスティ『殺人は容易だ』 ノンシリーズ。 小さな村で起こっている連続殺人に、唯一気付いたピンカートン。 これをロンドン警察に通報する直前にひき逃げで殺害される。 しかしこれも事故と処理され・・・。 主人公は元植民地警察官ルークという、何気…

A・クリスティ『杉の柩』

A・クリスティ『杉の柩』 ポアロ物。大好きなポアロ物の中でも私のベスト3に入るくらいに面白かったです! タイトルは地味なのに、小説がドラマチックでお薦めです。 作品は、主人公エリノアが殺人容疑で起訴された法廷シーンから始まり、 過去を回想する…