2006-01-01から1年間の記事一覧

京極夏彦『邪魅の雫』

京極堂シリーズ最新刊。 読了後の余韻が何とも切なく、800ページを越える作品を 読了した虚脱感でしばらく放心状態でした。 そしてじわじわ〜と響いてくるこのラスト! いやー、切なくてきついけれどこれは絵になるわぁ。 というかこの人物がこんなこと言う…

石持浅海『顔のない敵』

「本格推理」に採用された記念すべきデビュー作「暗い箱の中で」を 含む全7篇から成る短編集。(うち6篇は連作短編集) 最初の6篇は対人地雷を扱った地雷ミステリです。 地雷という言葉に対して、他所事のような感覚しか 持ち合わせてなかったのでこの部…

ヒラリー・ウォー『ながい眠り』

フェローズ署長最初の事件です。 警察小説のお手本のような作品。 大きな岩石を崩すために探す小さな綻び。 この作業がまた本当に大変で、 主人公が胃を患ってるのも頷けます。 ここであらゆる可能性を突き進んでいく、 その過程が重苦しくならないのは フェ…

東野圭吾『怪しい人々』

怪しい人びと (光文社文庫)作者: 東野圭吾出版社/メーカー: 光文社発売日: 1998/06/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 8回この商品を含むブログ (45件) を見る 短編集。性別も職業も年齢も様々で どこにでもいそうな普通の人が主人公となっている。 その…

アガサ・クリスティ『スタイルズ荘の怪事件』

ポアロと、そしてクリスティのデビュー作としては あまりに有名な作品。再読です。 犯人・設定・ポアロが犯人に対してとった法律的な行動の意味 すべて覚えていたのに、唯一忘れていたのが殺害方法! 一体どこに毒が仕込まれていたのか・・・コーヒーなのか…

9月の購入本

京極夏彦『邪魅の雫』早く読みたいー。仕事が休みの時に一気に読むゾー! 米澤穂信『ボトルネック』ネットで評判いいので読むのが楽しみ♪ 加賀美雅之『風果つる館の殺人』ベルトランシリーズ。今回も嬉しい満腹状態かな? 東野圭吾『眠りの森』加賀恭一郎シ…

『夜市』恒川 光太郎

日本ホラー大賞受賞作。 表題作と「風の古道」の2編から成ります。 この作品がデビュー作でありながら直木賞候補に 挙げられたのは納得ですね。完成度が素晴らしい! セピア色の情景が読んでて自然と思い浮かぶんですよ。 それに切なくて幻想的で・・と書く…

岡嶋二人『99%の誘拐』

久々に読んだ岡嶋作品は時間を忘れさせてくれるほど面白かった! 誘拐ものって元々好きなジャンルで、特に現金の受け渡しや 犯人と警察との駆け引きはいつも想定外のことを期待してます。 これ、警察がちょっと不甲斐なかったけれど この作品いつ書かれたん…

大森望・豊崎由実『文学賞メッタ斬り リターンズ』

おお〜相変わらずこの表紙! 天明屋尚さんのド迫力な挿画がこのタイトルに合ってますね。 やはり2冊目ということで前回ほどのインパクトはなかったですが お二人の過激発言は、例えネットで予め読んでた内容でも (直木賞・芥川賞候補作関連はほとんどネッ…

宮部みゆき『名もなき毒』

『誰か』の杉村三郎が登場。 前作未読でも差し障りないけれど、たまに前の事件に 関連した言葉が出てくるので、読んでいた方が楽しめると思います。 ここでは具体的な毒から人間の心に潜む毒まで色んな毒が登場し 目に見えない毒の怖さをまざまざと見せつけ…

薬丸岳『闇の底』

前作『天使のナイフ』に続き、今回も社会派的な内容で 正直、読みながら後悔することしきり。 作品自体がどうこうでなく、私自身があまり読みたくない 題材ということ。 (じゃあなぜ読んじゃったんでしょうね!) ただ薬丸岳さん、新人ながらぐいぐい読ませ…

ジャック・リッチー『クライム・マシン』

2006年度「このミステリーがすごい!」海外編1位。 いやー、これはお薦め〜(^○^) この作品がこのミスで1位をとることがまた嬉しいので 大々的に宣伝しちゃいます。 ショートショートを含む短編集ですが、そのどれもが巧妙。 私のようにジャック・リッチー…

鯨統一郎『オレンジの季節』

前半は会社員の立花薫が奮闘しながらも専業主夫になる 様子が描かれていて・・・と微笑ましい思いで読んでましたが 後半は・・・まぁ鯨さんが普通の家族小説書くハズないかっ! いや、終わり方は色んな所で驚きの言葉を耳にしてましたが 自分が実際に読むと…

茂市久美子『つるばら村の三日月屋さん』

『つるばら村のパン屋さん』の続編。 つるばら村のくるみさんがようやく駅前にお店を出しました。 私自身がパンを手作りしてるので、まず注目したのがパンのネーミング! 三日月パンというのはクロワッサンだそうです。ね、素敵でしょ? お客さんが普通の人…

射逆裕二『情けは人の死を招く』

女装マニア・狐久保朝志シリーズ第2弾。 登場人物に生活感のないのが些か気になるけれど やっぱりこのシリーズは面白いですね。 前作よりポイント高し!密室ネタは面白い。 メインの密室ネタに様々な人間関係織り交ぜて書かれてますが これがまたあっさりと…

乃南アサ『風の墓碑銘』

音道貴子シリーズ。 『凍える牙』でのあの名コンビ復活! それだけで小躍りするくらい嬉しい設定です。 二人が互いに牽制し合う会話が妙におかしくて 特に滝沢が気の毒なほどの音道の構えぶり。 手帳に記入していたAという文字には 思わず吹き出してしまい…

京極夏彦『後巷説百物語』

直木賞受賞作品。 『続巷説百物語』を読了した時点でその終焉があまりに素晴らしく この先の『後巷説百物語』を読みたくなかった私です。 これ以上は蛇足じゃないのか・・・という思いを数ヶ月抱いてましたが 色んな人から勧められて読んでみたら・・ わぁ〜…

東野圭吾『赤い指』

加賀恭一郎シリーズ。 親子関係がテーマの作品です。 女性と男性では親や子に対する接し方や想いがかなり異なるもんですね。 自分に当てはめて考えずにはおれない内容なので、 読んでて不快感を感じます、この親に、この子に。 ああ、気をつけよう、自分がこ…

万城目学『鴨川ホルモー』

第4回ボイルドエッグズ新人賞受賞作品。 ホルモンでなくホルモー?何これ?と思いつつ読み始めましたが これがまた面白い!読者は全くホルモーについて知識のない主人公達と 手探りで読み進めます。なかなかその実態がわかってこなくて 小出しにされる情報…

島田荘司『摩天楼の怪人』

『』 御手洗シリーズ。 先日読んだ『上高地の切り裂きジャック』が少々小粒だったので、 久々にやったぁ〜という印象。やっぱりこのシリーズは長編でなくっちゃ! 考えられない謎の連続、心配になるほどの大風呂敷の広げ方でしたが、 読了後の満足感はえも言…

若竹七海『猫島ハウスの騒動』

葉崎シリーズ第3弾。 猫・猫・猫、そして謎・謎・謎。猫好きにはたまらない作品ですね! という私は犬派なんですが、ポリス猫DCにはビビっときました。 いいキャラだ〜。DCなら飼ってみたいなぁ。 小気味良いテンポと楽しい登場人物にさくさく読めます。 伏…

8月の購入本。

東野圭吾さん「赤い指」は2回目のネットサイン本でゲットしました。先着10名は数分で終わったと思います。ラッキー♪ 若竹七海さん『猫島ハウスの騒動』はただいま読書中。大変楽しんでます。 高村薫さん『照柿』(上下巻)は大好きな合田刑事シリーズ。前…

島田荘司『上高地の切り裂きジャック』

表題作を含む中編2作から成る御手洗シリーズ。 表題作のタイトルはそそられますねぇ。 どんな凶悪犯が上高地に潜んでいるのかと思えば ちょっと笑っちゃうような結末でした。 タイトル買いした人は少々ガッカリするかも。 ただしこれが御手洗ファンなら別。…

A・クリスティ『ゼロ時間へ』

バトル警視シリーズ。 推理小説といえば、殺人が起こった時点から始まるイメージありますが この作品では「殺人は結果である。物語はそのはるか以前から始まっている。 すべてがある点に向かって集約していく・・・そしてその時にいたる ・・・クライマック…

P・コーンウェル 『神の手』

検屍官シリーズ第14作目。 分冊されてからは一番面白い作品かも知れないけれど 最近のテンポの速さには置いてけぼりされてる気がします。 場面展開の早さと余白の多さ、もっと深く入り込みたいのに さらっと流されてるようで、それが少々不満です。 登場人…

若竹七海『古書店アゼリアの死体』

葉崎シリーズ第2弾。 シリーズ前作である『ヴィラ・マグノリアの殺人』より グンと面白さもパワーアップしました。 不幸中の不幸・相澤真琴が「バカヤロー」と叫ぶために来た海岸で 死体を発見してしまう!その設定がおかしくて、コージーミステリの 出だし…

米澤穂信『犬はどこだ』

これは面白い! 『氷菓』の古典部シリーズ、『春期限定いちごタルト事件』の小市民シリーズ どちらも好きなシリーズだけど、私の中ではそれらを突き破って 米澤さん凄いっ!と唸らせた作品。これはお薦めだな〜。 無気力だった主人公・紺屋長一郎が 犬でなく…

最近の購入本

東川篤哉さん『殺意は必ず三度ある』 これは『交換殺人には向かない夜』を軽く再読してから読む予定。 朱川湊人さん『赤々煉恋』(画像がない!何でだ・・) ネットサイン本を迷わずゲット! 綾辻行人さん佐々木倫子さん『月館の殺人』(下) ようやく書店で…

A・クリスティ『アクロイド殺し』

A・クリスティ『アクロイド殺し』 ポアロシリーズ。再読。 これは凄い作品です。 初読の時、私は犯人知らずに真っ白な状態で読みましたが それがどんなに幸せなことなのか、読了した人なら納得ですね。 これ書いたの何年前なんだろ。凄いわ、クリスティ。 …

犯人当てアンソロジー『気分は名探偵』

我孫子武丸、有栖川有栖、霧舎巧、貫井徳郎、法月綸太郎、麻耶雄嵩 犯人当てはすべて玉砕。はい、全滅です。 一番気に入ったのは霧舎さんの「15分間の出来事」。 正解率20%超えてる作品もあって こういう数字見ちゃうと、自分の推理力のなさにガッカリ…