A・クリスティ『死人の鏡』

A・クリスティ『死人の鏡』


死人の鏡 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)



「厩舎街の殺人」
「謎の盗難事件」
「死人の鏡」
「砂にかかれた三角形」
の4篇からなるちょっと長めの短篇集。
すべてポアロ物。軽く楽しむのにはちょうどいい長さと質でした。


自殺か他殺か?
最初の「厩舎街の殺人」ではクリスティに
見事にしてやられました。
自殺に見えて他殺か?
それともさらに捻って本当に自殺か?
この視点の変え方は巧い。
全く想像してなかった結末で
これはポアロの短篇の中でもかなり面白い部類に入ると思われます。
やっぱりポアロ物にはハズレがないんですよね。


同じく自殺&他殺を扱った表題作は
遺産相続も関連してるので読み応えたっぷり。
遺産相続に絡むクリスティ作品、大好き!
ラストはちょっと切なかったのは意外でした。


ところで本書にはサタースウェイトという人物が登場します。
『謎のクィン氏』ではワトソン役として登場してますが
そんな彼がちょい役で登場すると、クリスティ作品よんでるゾ
という気分味わえて嬉しいですね。