A・クリスティ『死への旅』

A・クリスティ『死への旅』

死への旅 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


ノンシリーズ。冒険物。
東西冷戦で引き裂かれたヨーロッパの西側陣営で
次々と失踪する科学者。
ひょんなことからその事件に巻き込まれる主人公ヒラリー。
彼女がその事件に巻き込まれる件が巧いって思いました。
強引さもなく、自然に流れる設定は
さすが、クリスティですね!



しかし何でこのタイトルなんだろう。
もう少し軽やかなのでもいいのに。
ちょっと損をしてる気もします。
内容はタイトルほど重くなく、さくさく読めるスパイ物。
誰が敵で誰が味方か?
作者の巧みなストーリー展開にドキドキしながら読めました。
そしてラスト。犯人の捻り方もさすがっ!と膝を打ったところで
外国映画のようなラストの一場面は、読後感がとてもいいのです。