A・クリスティ『謎のクィン氏』

A・クリスティ『謎のクィン氏』


謎のクィン氏 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

短編集。
主人公は人間観察が大好きな初老のサターウェイト氏と
素性が全くわからない謎のクィン氏。
表立って事件解決していくのがサターウェイト氏で
彼に事件解決の指摘をして姿を消すのがクィン氏。
これが恋愛絡みの事件に限られているのが
なかなかお洒落ですね。
殺伐とした事件もサターウェイト氏の存在で
のんびりした雰囲気に中和されてて、とても心地よく楽しめます。
この作品最大の謎はクィン氏の存在なんだけど
それが読むうちにどうでもよくなるくらい
途中から当然にように受け入れてしまいます。
ポアロやマープルにはない味があって
上質な短編集でした。意外と好きかも。