島田荘司『アルカトラズ幻想』

島田荘司『アルカトラズ幻想』


アルカトラズ幻想


島田さんが書きたい本当のテーマみたいなのがあって
ミステリは単なる導入部、というタイプの作品が続いてます。


今回の導入部の猟奇殺人は惹きつけられる。
どんな意図があってこういう事件が起きるのか?
ワクワクしながら読み進めると
次は唐突に、何の繋がりもなさそうな章が続くので
本来なら肩透かしを食っちゃうだろうな。
ところがそこはそれ、島田さんの筆力と力技で
不自然に感じるどころか、最後には満足してしまう。さすがです。


特に私が好きだったのが第2章。
この重力論文は島田さん独自の考えみたいで
真偽のほどはわかりませんが
とても分かりやすく書かれているので
物理の教科書も島田さんが噛み砕いてくれたら
もっと簡単に理解できたかも知れない。
それくらいにわかりやすいです。

エンディングはただもうビックリ。
さぁ、どうだ!と言われたような幕切れでした。
いや〜ちょっとコメントし難い幕切れでしたが
私は2章に満足しちゃったので、全体的にも満足かな。