A・クリスティ『複数の時計』

A・クリスティ『複数の時計』 ポアロ物。長編。 タイピストのシェイラは、仕事依頼を受けて訪れた部屋で 見知らぬ男性の死体を発見。 その部屋の持ち主は盲目の女教師で、そもそも仕事依頼をしていないと言う。 なぜかその部屋には同じ時刻を指す複数の時計…

S・J・ローザン『チャイナタウン』

S・J・ローザン『チャイナタウン』 リディア&ビルシリーズ第1弾。 中国系アメリカ人リディアと白人男性ビルが主人公。 巻ごとに交互にメインが変更するシリーズ。 1冊目はリディア視点。 この場面、ビル視点ならどう描かれるのかな なんて考えながら読…

ドロシー・L・セイヤーズ『毒を食らわば』

ドロシー・L・セイヤーズ『毒を食らわば』 ピーター卿シリーズ第5弾。長編。 ピーター卿が運命の人と出会った記念すべき1冊。 まさか彼がこんなにメロメロになるなんて! その彼女のために獅子奮迅の活躍をするピーター卿、と 言いたいところだけど、今回…

京極夏彦『百鬼夜行 陽』

京極夏彦『百鬼夜行 陽』 『陰』と同じく、京極堂シリーズの登場人物に スポットを当て、その人物を内面から描いた短篇集。 今回は『陰摩羅鬼の瑕』『邪魅の雫』関係だろうと予想してましたが 意外や『魍魎の匣』からも1篇。 覚えている人物もあればすっか…

小野不由美『ゴーストハント6 海からくるもの』

小野不由美『ゴーストハント6 海からくるもの』 今回はナルが憑依されてしまって大ピンチ! そうなるとやっぱり頼りになるのはぼーさんですよね。 軽そうな口調なのに、知識量が膨大で きちんと仕事をこなす、いい人だな。 また今回は原因究明が二転三転。 …

P・コーンウェル『変死体』(上)(下)

P・コーンウェル『変死体』(上)(下) 検屍官シリーズ第18弾。 今回もケイ視点。やっぱりこれが一番読みやすい。 当分、この路線でいって欲しい。 今回の事件の核となる部分は 近未来的に起こり得るかも知れない、 と想像することで怖さは増幅され 着眼…

ジョン・ディクスン・カー『皇帝のかぎ煙草入れ』(新訳版)

ジョン・ディクスン・カー『皇帝のかぎ煙草入れ』(新訳版) 「このトリックにはさすがのわたしも脱帽する」 女王クリスティが驚嘆する不朽の本格長編、新訳版 という帯が誇張ではなかったことを実感。 道を隔てた窓ごしで事件に遭遇するイヴの 臨場感溢れる…

中山七里『さよならドビュッシー』

中山七里『さよならドビュッシー』 岬洋介シリーズ第1弾。長編。 初読みの作家さん。 楽曲説明がやたら詳しくって 奥泉光さんの『シューマンの指』を思い出しました。 シューマンはあまり馴染みがなかったので 本作品の方が読みやすいかな。 美しい旋律を奏…

ドロシー・セイヤーズ『ベローナ・クラブの不愉快な事件』

ドロシー・セイヤーズ『ベローナ・クラブの不愉快な事件』 ピーター卿シリーズ第4弾。長編。 この時代の英国小説を読んでいると 頻繁に登場するのがクラブの存在。 羨ましいんですよね、このクラブ。 今回は遺産が絡んだ死亡時刻をピーター卿が特定するとい…

A・クリスティ『カリブ海の秘密』

A・クリスティ『カリブ海の秘密』 ミス・マープルもの。 今回マープルは、セント・メアリ・ミード村ではなくて 高級なイメージ漂うカリブ海での静養、という設定。 しかしどんな所でも彼女は編み棒を手放さないんですね。 犯人に油断させるのはいい武器かも…

ドロシー・L・セイヤーズ『不自然な死』

ドロシー・L・セイヤーズ『不自然な死』 ピーター卿シリーズ第3弾。長編。 犯人役がほぼ特定されてる中で 飽きさせずに読者を引っ張る術が素晴らしい。 今回はマープルのような女性が マープルのように村人とおしゃべりして 手掛かりをつかもうとする。 こ…

小野不由美『ゴーストハント5鮮血の迷宮』

小野不由美『ゴーストハント5鮮血の迷宮』 ここまで読んだ5冊の中では、今回が最高に血生臭くて怖い。 一人ずつ人が消えていく、という恐怖は 背筋がゾクゾクしますね。 「増築が不自然に繰り返されている」 というような表現が執拗に書かれていて それだ…

ドロシー・L・セイヤーズ『雲なす証言』

ドロシー・L・セイヤーズ『雲なす証言』 ピーター卿シリーズ第2弾。長編。 今回は兄の無実を証明すべく奔走するピーター卿。 事件自体も謎だけど、当事者達がつく嘘も謎・謎・謎。 その解明に、まさか主人公がこんなに体張る作品だったとは! 侍従のバンタ…

ドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』

ドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』 ピーター卿シリーズ第1弾。長編。 初セイヤーズ。とても読みやすく 推理小説の王道をいく作品。 風呂場に見知らぬ男の死体があって その男は全裸で鼻眼鏡だけかけている。 何で全裸で鼻眼鏡? この設定は巧いなぁ。…

ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(新訳版)

ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(新訳版) ギディオン・フェル博士シリーズ。長編。 密室を期待してましたが、この作品はアリバイもの。 言われてみれば、というトリックでしたが トリックだけでなく小説としても巧くできた作品でした。 いかれ…

東野圭吾『歪笑小説』

東野圭吾『歪笑小説』 出版社の内幕を描いた短編集。 いや〜面白すぎるっ!さすが東野さん。 『黒笑小説』とリンクしてるので 先にあちらを読んだら楽しいかな。 デフォルメして書かれた内容も 内情を知ってる人が読んだら苦笑して こっそり頷いてたりして・…

A・クリスティ『娘は娘』

A・クリスティ『娘は娘』 メアリ・ウェストマコット名義のノンミステリ。 クリスティ作品の中でも別名義は苦手だな と改めて感じた作品。 クリスティ文庫100冊に入ってなかったら 敢えて読もうとは思わなかった気がする。 中盤までは主人公に感情移入す…

ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人』

ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人』 これは犯人わからないだろう! 推理作家だって無理じゃないか、と思えるくらいに フーダニット的な面白さが冴えた作品。 作者に、というよりバンコランにミスリードされた気分で どんどん事件の様相が変わってい…

中田永一『百瀬、こっちを向いて。』

中田永一『百瀬、こっちを向いて。』 「百瀬、こっちを向いて」 「なみうちぎわ」 「キャベツ畑に彼の声」 「小梅が通る」 の4編から成る短編集。 恋愛小説というのはあまり好みじゃないし それを売りにする作品はもっと好みじゃないのに これは私の固定観…

スティーヴ・ハミルトン『解錠師』

スティーヴ・ハミルトン『解錠師』 ある事件がきっかけで口が利けなくなる という大きなトラウマを持った 金庫破りの少年の青春物語。 私が過去に好んで読んだハヤカワのポケミスは 本格ミステリが多かったので全然違う雰囲気。 色んな世代に受け入れられる…

小野不由美『ゴーストハント4死霊遊戯』

小野不由美『ゴーストハント4死霊遊戯』 この作品、どんどん怖さが増してきてますね。 オカルト的な言葉の漢字表記がまず怖い。 漢字自体に恐ろしげなオーラを感じてる時点で、 普通の場面も怖く感じちゃってますよね。情けない。 今回特筆すべきは、単なる…

法月綸太郎『キングを探せ』

法月綸太郎『キングを探せ』 法月綸太郎シリーズ。 読み始めは、「あれ、作風変わった? 歌野晶午さんの某作品っぽいな」 という印象でしたが、いえいえ、やっぱり法月さんです。 見事なパズル的展開が待ち構えてました。 交換殺人という大きな軸を中心に 枝…

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで2』

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで2』 前作は自分のイメージで読めてたけれど 今回はドラマの影響を大きく受けちゃいました。 影山、宝生麗子、風祭警部はドラマ通り。 当分抜けないな、このイメージ。 面白い会話に目をとられてる間に伏線を読み飛ばして…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』 前作『犯罪』同様、弁護士である主人公が 淡々と語る内容。短篇集。 実際にドイツで刑事事件専門の弁護士をしている作者が 現実の事件に材を得て、それを淡々と伝えており そのあまりの淡々とした語り口が 作…

高田 郁『夏天の虹』

高田 郁『夏天の虹』 みをつくし料理帖シリーズ第7弾。 前作『心星ひとつ』の上をいく展開。 作者の高田さんはが考えてらっしゃる展開は、 全く予想外のことばかり。う〜ん、気を抜くことができません。 料理はいつもよりは精彩を欠いてたような気もしまし…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』

フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』 弁護士「私」が遭遇した11の犯罪。 実際の事件を元に描かれた、素晴らしき犯罪文学です。 まず、表紙の絵から漂う独特の世界観がツボ。 そして犯罪に手を染めざるを得なかった経緯が 淡々とした文体で描かれ…

島田荘司『ゴーグル男の怪』

島田荘司『ゴーグル男の怪』 長編。TVドラマ「探偵Xからの挑戦状」の原作に 加筆された内容らしいです。 犯人当てのドラマ見てないのが残念。 しかし・・・レトロな表紙だなぁ! 子供の頃に読んだ江戸川乱歩の少年探偵団を 彷彿させるような昭和臭い表紙は…

加納朋子『無菌病棟より愛をこめて』

加納朋子『無菌病棟より愛をこめて』 ノンフィクション。 急性白血病と告知された加納さんご自身の闘病記。 滅多にノンフィクションを読まないので フィクションとは違って、1つ1つのエピソードが 直に胸にこたえてくるのが辛かったです。 そういう意味で…

大崎梢『プリティが多すぎる』

大崎梢『プリティが多すぎる』 表紙の雰囲気から、甘ったるい内容かと思っていたが ローティーン雑誌の裏側を描いた、実はとても現実的な内容。 まだ年若い少女達には酷な場面もあり 現実の厳しさを目の当たりにした。 自分の希望しない部署に回されて やる…

麻耶 雄嵩『メルカトルかく語りき』

麻耶 雄嵩『メルカトルかく語りき』 メルカトル鮎シリーズ。短編集。 ひぃえ〜やっぱり凄いや、このシリーズ。 もう破壊力が半端なく大きくて 読了後は麻耶さんとメルカトル鮎の 高笑いが聞こえてきそう。 結末に関して、実はどの作品にも共通していることが…