ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(新訳版)

ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(新訳版)


帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)


ギディオン・フェル博士シリーズ。長編。
密室を期待してましたが、この作品はアリバイもの。
言われてみれば、というトリックでしたが
トリックだけでなく小説としても巧くできた作品でした。


いかれ帽子屋、ポーの未発表原稿の紛失、
霧のロンドン塔に盗まれた帽子を被った死体・・・
謎とムードが満点で、濃霧がさらに場面を重苦しく
不気味さを醸し出してます。
この濃霧が曲者。
いかれ帽子屋がさらに連続殺人を企ててるのか?
想像力が掻き立てられ夢中になりました。


しかしフェル博士の態度も体もでかいこと。
さらによもやの終わり方!
こういう決着はあまり好みではありませんが
それを納得させる手腕はさすがです。
泣かせる話でした。