ドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』

ドロシー・L・セイヤーズ『誰の死体?』


誰の死体? (創元推理文庫)


ピーター卿シリーズ第1弾。長編。
セイヤーズ。とても読みやすく
推理小説の王道をいく作品。
風呂場に見知らぬ男の死体があって
その男は全裸で鼻眼鏡だけかけている。
何で全裸で鼻眼鏡?
この設定は巧いなぁ。
最初からワクワクしちゃいました。


しかし主人公ピーター卿はよく喋る。
難解な文学もよく会話に登場するし
さすが貴族ですよ。素養があるなぁ。
たまに出る四文字熟語には古さを感じたりもする・・
けど嫌ではない。



シュールな状況でもどこかコミカルに感じられるのは
ピーター卿のお喋りキャラでしょうかね。
他の登場人物のキャラも魅力的で、特にバンターは素晴らしい。
ウッドハウスの描く執事ジーヴスのような腹黒さが微塵もなく
まさに英国貴族に仕えるザ・従僕。従僕の鏡ですよ!
そんな英国小説ならではの、当時の世相を味わえるというのも
たまらなく楽しい小説です。