ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人』

ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人


蝋人形館の殺人 (創元推理文庫)


これは犯人わからないだろう!
推理作家だって無理じゃないか、と思えるくらいに
フーダニット的な面白さが冴えた作品。
作者に、というよりバンコランにミスリードされた気分で
どんどん事件の様相が変わっていく様が面白い。
面白いだけじゃなくて怪奇的な雰囲気がまたたまらない。



大袈裟な描写や妖しげなパリの裏通り
そして深夜の蝋人形館に秘密の会員制クラブなど
舞台設定に気持ちを高揚させながら
意外な大活劇に逸る気持ちを抑えつつ
もったいないのでじっくり読み進めました。


犯人より何よりラストのバンコランの遣りようが一番の驚き。
え〜っと、こういうのっていいのかな?
再読なのにたっぷり楽しめたこの作品はオススメです。