BOOK

中山七里『さよならドビュッシー』

中山七里『さよならドビュッシー』 岬洋介シリーズ第1弾。長編。 初読みの作家さん。 楽曲説明がやたら詳しくって 奥泉光さんの『シューマンの指』を思い出しました。 シューマンはあまり馴染みがなかったので 本作品の方が読みやすいかな。 美しい旋律を奏…

ドロシー・セイヤーズ『ベローナ・クラブの不愉快な事件』

ドロシー・セイヤーズ『ベローナ・クラブの不愉快な事件』 ピーター卿シリーズ第4弾。長編。 この時代の英国小説を読んでいると 頻繁に登場するのがクラブの存在。 羨ましいんですよね、このクラブ。 今回は遺産が絡んだ死亡時刻をピーター卿が特定するとい…

ドロシー・L・セイヤーズ『不自然な死』

ドロシー・L・セイヤーズ『不自然な死』 ピーター卿シリーズ第3弾。長編。 犯人役がほぼ特定されてる中で 飽きさせずに読者を引っ張る術が素晴らしい。 今回はマープルのような女性が マープルのように村人とおしゃべりして 手掛かりをつかもうとする。 こ…

小野不由美『ゴーストハント5鮮血の迷宮』

小野不由美『ゴーストハント5鮮血の迷宮』 ここまで読んだ5冊の中では、今回が最高に血生臭くて怖い。 一人ずつ人が消えていく、という恐怖は 背筋がゾクゾクしますね。 「増築が不自然に繰り返されている」 というような表現が執拗に書かれていて それだ…

ドロシー・L・セイヤーズ『雲なす証言』

ドロシー・L・セイヤーズ『雲なす証言』 ピーター卿シリーズ第2弾。長編。 今回は兄の無実を証明すべく奔走するピーター卿。 事件自体も謎だけど、当事者達がつく嘘も謎・謎・謎。 その解明に、まさか主人公がこんなに体張る作品だったとは! 侍従のバンタ…

ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(新訳版)

ジョン・ディクスン・カー『帽子収集狂事件』(新訳版) ギディオン・フェル博士シリーズ。長編。 密室を期待してましたが、この作品はアリバイもの。 言われてみれば、というトリックでしたが トリックだけでなく小説としても巧くできた作品でした。 いかれ…

東野圭吾『歪笑小説』

東野圭吾『歪笑小説』 出版社の内幕を描いた短編集。 いや〜面白すぎるっ!さすが東野さん。 『黒笑小説』とリンクしてるので 先にあちらを読んだら楽しいかな。 デフォルメして書かれた内容も 内情を知ってる人が読んだら苦笑して こっそり頷いてたりして・…

ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人』

ジョン・ディクスン・カー『蝋人形館の殺人』 これは犯人わからないだろう! 推理作家だって無理じゃないか、と思えるくらいに フーダニット的な面白さが冴えた作品。 作者に、というよりバンコランにミスリードされた気分で どんどん事件の様相が変わってい…

中田永一『百瀬、こっちを向いて。』

中田永一『百瀬、こっちを向いて。』 「百瀬、こっちを向いて」 「なみうちぎわ」 「キャベツ畑に彼の声」 「小梅が通る」 の4編から成る短編集。 恋愛小説というのはあまり好みじゃないし それを売りにする作品はもっと好みじゃないのに これは私の固定観…

スティーヴ・ハミルトン『解錠師』

スティーヴ・ハミルトン『解錠師』 ある事件がきっかけで口が利けなくなる という大きなトラウマを持った 金庫破りの少年の青春物語。 私が過去に好んで読んだハヤカワのポケミスは 本格ミステリが多かったので全然違う雰囲気。 色んな世代に受け入れられる…

小野不由美『ゴーストハント4死霊遊戯』

小野不由美『ゴーストハント4死霊遊戯』 この作品、どんどん怖さが増してきてますね。 オカルト的な言葉の漢字表記がまず怖い。 漢字自体に恐ろしげなオーラを感じてる時点で、 普通の場面も怖く感じちゃってますよね。情けない。 今回特筆すべきは、単なる…

法月綸太郎『キングを探せ』

法月綸太郎『キングを探せ』 法月綸太郎シリーズ。 読み始めは、「あれ、作風変わった? 歌野晶午さんの某作品っぽいな」 という印象でしたが、いえいえ、やっぱり法月さんです。 見事なパズル的展開が待ち構えてました。 交換殺人という大きな軸を中心に 枝…

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで2』

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで2』 前作は自分のイメージで読めてたけれど 今回はドラマの影響を大きく受けちゃいました。 影山、宝生麗子、風祭警部はドラマ通り。 当分抜けないな、このイメージ。 面白い会話に目をとられてる間に伏線を読み飛ばして…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』

フェルディナント・フォン・シーラッハ『罪悪』 前作『犯罪』同様、弁護士である主人公が 淡々と語る内容。短篇集。 実際にドイツで刑事事件専門の弁護士をしている作者が 現実の事件に材を得て、それを淡々と伝えており そのあまりの淡々とした語り口が 作…

高田 郁『夏天の虹』

高田 郁『夏天の虹』 みをつくし料理帖シリーズ第7弾。 前作『心星ひとつ』の上をいく展開。 作者の高田さんはが考えてらっしゃる展開は、 全く予想外のことばかり。う〜ん、気を抜くことができません。 料理はいつもよりは精彩を欠いてたような気もしまし…

フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』

フェルディナント・フォン・シーラッハ『犯罪』 弁護士「私」が遭遇した11の犯罪。 実際の事件を元に描かれた、素晴らしき犯罪文学です。 まず、表紙の絵から漂う独特の世界観がツボ。 そして犯罪に手を染めざるを得なかった経緯が 淡々とした文体で描かれ…

島田荘司『ゴーグル男の怪』

島田荘司『ゴーグル男の怪』 長編。TVドラマ「探偵Xからの挑戦状」の原作に 加筆された内容らしいです。 犯人当てのドラマ見てないのが残念。 しかし・・・レトロな表紙だなぁ! 子供の頃に読んだ江戸川乱歩の少年探偵団を 彷彿させるような昭和臭い表紙は…

加納朋子『無菌病棟より愛をこめて』

加納朋子『無菌病棟より愛をこめて』 ノンフィクション。 急性白血病と告知された加納さんご自身の闘病記。 滅多にノンフィクションを読まないので フィクションとは違って、1つ1つのエピソードが 直に胸にこたえてくるのが辛かったです。 そういう意味で…

大崎梢『プリティが多すぎる』

大崎梢『プリティが多すぎる』 表紙の雰囲気から、甘ったるい内容かと思っていたが ローティーン雑誌の裏側を描いた、実はとても現実的な内容。 まだ年若い少女達には酷な場面もあり 現実の厳しさを目の当たりにした。 自分の希望しない部署に回されて やる…

麻耶 雄嵩『メルカトルかく語りき』

麻耶 雄嵩『メルカトルかく語りき』 メルカトル鮎シリーズ。短編集。 ひぃえ〜やっぱり凄いや、このシリーズ。 もう破壊力が半端なく大きくて 読了後は麻耶さんとメルカトル鮎の 高笑いが聞こえてきそう。 結末に関して、実はどの作品にも共通していることが…

G・M・マリエット『コージー作家の秘密の原稿』

G・M・マリエット『コージー作家の秘密の原稿』 タイトルにコージーという言葉が含まれてるけど コージー小説というより英国が舞台の本格ミステリ。 と言い切りたいけど、本格と銘打つほど 伏線しっかりしてたかなぁ? というのが正直な感想。 あまりに唐…

P・コーンウェル『スカーペッタ 核心』上・下

P・コーンウェル『スカーペッタ 核心』上・下 検屍官シリーズ第17弾。 『業火』の真相が明かされます。少々驚き。今さらだわ。 この作品を初めて手に取る人は何のことやらさっぱりでしょうね。 元々このシリーズは、初読みの読者に冷たい印象を受けてたけ…

ケイト・モートン『忘れられた花園』

ケイト・モートン『忘れられた花園』上・下巻 幼い頃、船で秘密のかくれんぼをしているつもりだった 一人の少女。同行者は出航時刻が過ぎても姿を現さなかった。 一人でオーストラリアに渡ってきた少女は口も利かず 自分が何者なのかもわからない。 引き取ら…

恩田陸『夢違』

恩田陸『夢違』 恩田ワールド全開の作品。 もうこの雰囲気に浸れるだけで満足です、私。 まず引き出しの多い恩田さんならではの意外な設定。 人の夢が可視化され、それを分析する職業がある。 悪夢に怯える小学生が全国で発生する一方で 一クラスまるごと消…

小野不由美『ゴーストハント3 乙女ノ祈リ』

小野不由美『ゴーストハント3 乙女ノ祈リ』 舞台が学校になると怖さが増しますね。 昔から伝わる七不思議や現実に起こった事故や事件。 色んな事柄が起こす現象を系統だって分類してる点が このシリーズの好きなところ。 知らない単語も目白押しで、怖さ半…

R・D・ウィングフィールド『夜明けのフロスト』

R・D・ウィングフィールド『夜明けのフロスト』 『ジャーロ』に掲載されたアンソロジー。 表題作以外は エドワード・D・ホック「クリスマスツリー殺人事件」 ナンシー・ピカード「Dr.カウチ 大統領を救う」 ダグ・アリン「あの子は誰なの?」 レジナルド…

R.D.ウィングフィールド『クリスマスのフロスト』

R.D.ウィングフィールド『クリスマスのフロスト』 フロスト警部シリーズ第1弾。 再読。懐かしい〜、本当に面白い作品だわ。 季節はクリスマス前の寒い時期。 寒い寒い1日がとにかく長いのよ、この作品。 読んでも読んでも同じ日の出来事。 よくこれだけ事…

デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』

ディビッド・ゴードン『二流小説家』 主人公ハリーは複数のペンネームを持つ作家。 フィクションでは思い通りの作品を描けるが いかんせん、現実の事件に対しては 犯人に振り回されてヘロヘロ。 これでハリーが名探偵よろしく事件を解決したら しらけた作品…

スティーヴン・キング『アンダー・ザ・ドーム』上下巻

スティーヴン・キング『アンダー・ザ・ドーム』上下巻 突然、1つの街がすっぽりと見えないドームに覆われてしまう。 微量な空気を通すのみのドームの出現は 確かにこういう事故や混乱は起こるよね〜という 描写のオンパレード。それが何とまぁ容赦のないこ…

京極夏彦『豆腐小僧双六道中おやすみ』

京極夏彦『豆腐小僧双六道中おやすみ』 前作『豆腐小僧双六道中ふりだし』の続編。 前作に関連した人物・事件も登場するので 刊行順に読むのがベストって思います。 今回も悩みます〜豆腐小僧は。 しかも偉そうにしている達磨先生も悩む点があって それが一…