恩田陸『夢違』

恩田陸『夢違』


夢違


恩田ワールド全開の作品。
もうこの雰囲気に浸れるだけで満足です、私。


まず引き出しの多い恩田さんならではの意外な設定。
人の夢が可視化され、それを分析する職業がある。
悪夢に怯える小学生が全国で発生する一方で
一クラスまるごと消失する事件も。
それを夢分析で解明しようとするが・・・。


小説自体が夢の中の出来事のように
不安定なヴエールに包まれたような印象。
主人公の不安が読者にも伝わり
どんどん不安度が増して一気にラストへ。
恩田作品を40作品以上読んでると
余分なことを書きすぎない
シンプルなこの終幕こそが恩田作品だ、と思えてしまう。
余韻を残した幕切れも、やっぱり夢の中のよう。