P・コーンウェル『スカーペッタ 核心』上・下

P・コーンウェル『スカーペッタ 核心』上・下

スカーペッタ 核心(上) (講談社文庫) スカーペッタ 核心(下) (講談社文庫)


検屍官シリーズ第17弾。
『業火』の真相が明かされます。少々驚き。今さらだわ。
この作品を初めて手に取る人は何のことやらさっぱりでしょうね。
元々このシリーズは、初読みの読者に冷たい印象を受けてたけど
ここまで人間関係が入り組んだら、楽しみたかったら
最初から読みなさいよ、ってことでしょうか。


主要な登場人物の怒りや悲しみ、不信といった
負の感情が紙面からバンバン伝わってくるので
平常心で読むのは私には無理。
大好きなケイによる検屍部分が減ってることもあって
面白みは本当に半減してしまってます。


主要人物がどんどん嫌いになるシリーズは珍しいですよね。
それなのになぜ読み続けているのか、不思議だわ。
過去あれだけ面白かったんだから、再び!
という思いがきっと強いんでしょうね。
ただし、マリーノが生活面で頑張ってる様子を読むと
彼を応援する気持ちはムクムク湧いてきて
自分も頑張らねば、と思ってしまう。
シリーズ最初では考えられないです。
ケイは若返ってから精神的に脆くなってイライラ。
強いケイが好きなのに。


『黒蝿』以降、人気急降下のこのシリーズだけど
今回は持ち直したんじゃないでしょうか。
大きな山を越えたような気がします。そろそろ終幕?
終わる前に、もう一度以前のような科学捜査中心の作品が読みたい
と思ってるのは私だけではないハズ。期待しましょう。