2011-01-01から1年間の記事一覧

米澤穂信『折れた竜骨』

米澤穂信『折れた竜骨』 過去に読んだ米澤作品で一番好きかも知れない。 というくらいに気に入りました。 あとがきでカドフェルの名前を読んだ時は小躍りしたいくらいに嬉しく 読んでてワクワクしたのも、大好きなカドフェルが活躍していた 時代と場所だった…

ミネット・ウォルターズ『鉄の枷』

ミネット・ウォルターズ『鉄の枷』 浴槽に横たわって死んでいた資産家の老婦人は他殺か自殺か? そして莫大な遺産はなぜ家族でなく主治医に残されたのか? 久々のウォルターズの作品は、なかなか良かったです。 もっと暗くてどよ〜んとした気分で読まないと…

宮部みゆき『ばんば憑き』

宮部みゆき『ばんば憑き』 短編集。 私の中では、時代小説を書かせたら宮部さんの右に出る者はいない、 と常日頃から考えてるのですが、前作『あんじゅう』といい、 この『ばんば憑き』といい本当に巧い作家さんです。 人の心の闇と怖さ、業の深さも 市井に…

綾辻行人『深泥丘奇談・続』

綾辻行人『深泥丘奇談・続』 装丁からして妖しく素敵な作品。 前作同様、たっぷりと楽しめました。 妖しく不思議な世界をさらに盛り上げてるのが挿絵とその色。 何とも嬉しすぎる演出です。 そして私にはどうしても主人公夫婦が綾辻さんご夫婦と 被ってしま…

近藤史恵『モップの精と二匹のアルマジロ』

近藤史恵『モップの精と二匹のアルマジロ』 キリコちゃんシリーズ第4弾。長編。 このシリーズを読むと、いつも掃除しなくちゃって感じます。 今回はそれに加えて、キリコちゃんの手際よいお料理の腕に感心。 何にでも一生懸命なキリコちゃんの姿は素敵だな…

近藤史恵『砂漠の悪魔』

近藤史恵『砂漠の悪魔』 近藤さんの作品にしては珍しい色合い。 ハードボイルドをさらっと読ませてる印象でした。 元々ハードボイルドが苦手な私にも 淡々と主人公の流転生活を味わうことができましたが 主人公の身勝手さに共感できないために どうにもこの…

アントニイ・バークリー『パニック・パーティ』

アントニイ・バークリー『パニック・パーティ』 ロジャー・シェリンガムシリーズ第10弾。 シェリンガムシリーズ最後の作品ですが 彼のいつもの迷推理はどこへやら、 これ本当にシェリンガムなの?という気持ちで一杯です。 過去作品と一線を画した異色作。…

辻村深月『本日は大安なり』

辻村深月『本日は大安なり』 老舗結婚式場で行われる4組のカップルを 花嫁視点、花婿視点、その家族視点と 次々と視点を変え、場面を変え、さらにスリリングな 事件が進行していく内容が緊張感を高めて面白かったです。 タイトルからハートウォーミングの内…

東川篤哉『放課後はミステリーとともに』

東川篤哉『放課後はミステリーとともに』 鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ 番外編。短編集。鯉ヶ窪学園探偵部シリーズ新作!ということで 多摩川部長や八ツ橋、赤坂等の活躍(笑)を期待していたら 彼等の登場は全然ありませんでした。完全なる番外編。 今回の主人…

東野圭吾『麒麟の翼』

東野圭吾『麒麟の翼』加賀刑事シリーズ第9弾。 『新参者』と同じ路線。 所轄の加賀刑事が従兄弟の松宮とコンビを組んで 殺人事件の真相に迫っていきます。 最大の謎が、被害者の青柳が刺された状態で 日本橋の麒麟像まで移動したという事実。 なぜ周囲の人…

麻耶雄崇『貴族探偵』

麻耶雄崇『貴族探偵』 本の装丁からして貴族っぽい雰囲気漂わせている 本作品の主人公は、貴族探偵と自ら名乗っている高貴なお方。 彼が快刀乱麻の如く事件を解決する・・・と思いきや そんな労働は下々の召使がやるって何でやねんっ! と関西人でなかろうと…

道尾秀介『月と蟹』

道尾秀介『月と蟹』 道尾作品に登場する少年達に いつもエネルギーを吸い取られてます。 小学生だからどうすることもできない 狭い世界の中での彼等の親に対する葛藤があまりに重苦しく 胸をえぐられる思いで読みました。 主人公の慎一が母親に対する気持ち…

若竹七海『プラスマイナスゼロ』

若竹七海『プラスマイナスゼロ』 葉崎シリーズ。 テンコ、ミサキ、ユーリ、3人揃うと プラスマイナスゼロのトリオが巻き込まれるドタバタ青春コメディ。 ああ〜面白い。これ、読んでて元気出ます。 『みんなのふこう』のこころちゃん並に不運なテンコ。 不…

A・クリスティ『マギンティ夫人は死んだ』

A・クリスティ『マギンティ夫人は死んだ』ポアロもの。長編。 マギンティ夫人が撲殺された過去の事件を スペンス警視からの依頼で再調査するポアロ。 しかも犯人として捕まった男は死刑を確定されている! いつもながらに会話を通して相手の心理を深読みす…

伊坂幸太郎『マリアビートル』

伊坂幸太郎『マリアビートル』 『グラスホッパー』の続編。 まずは『グラスホッパー』の再読から。 これは正解でした。予想以上に、前作からの主要キャラが 登場するので、過去の事件を知った上での方が私は楽しめました。 そして今回も癖のある殺し屋が登場…

コリン・デクスター『モース警部、最大の事件』

コリン・デクスター『モース警部、最大の事件』 モース警部シリーズ第11弾。短編集。 モース警部と全く関係ないノンシリーズ物や ホームズのパスティーシュ等も含まれてます。 長編と同じレベルで期待するとガッカリするかも知れないけど 軽いノリで読むと…

A・クリスティ『死の猟犬』

A・クリスティ『死の猟犬』 ノンシリーズ。短編。 クリスティにしては珍しく(と、私が思ってるだけなのか) 怪奇的・ホラー的な作品が並ぶので、ミステリ好きには好みが分かれそう。 ちなみに私が一番好きだったのは、 唯一のミステリ作品である「検察側の…

京極夏彦『数えずの井戸』

京極夏彦『数えずの井戸』 江戸怪談シリーズ 第3弾。 番町皿屋敷という怪談、私が知っているのは お菊さんという女中が大切な皿を割ってしまって 殿さまに手打ちにされ、それを怨んで化けて出るというもの。 それを京極さんがアレンジするとこんな大分量の…

東川篤哉『ここに死体を捨てないでください!』

東川篤哉『ここに死体を捨てないでください!』 烏賊川市シリーズ第5弾。 やっぱり面白いよ、このシリーズ! 鵜飼さんと砂川警部のやりとりに、心の中で突っ込み入れる朱美さん、 そしていつも彼等に振り回されてる流平くんと志木刑事。 もうお決まりのメン…

A・クリスティ『ポケットにライ麦を』

A・クリスティ『ポケットにライ麦を』 ミス・マープル物。長編。 クリスティお得意のマザーグースの童謡を模した連続殺人。 殺された上に洗濯バサミで鼻を挟まれるという屈辱的な辱めを受けた マープルの知り合いの女中が気の毒で、 犯人に対する怒りが沸々…

若竹七海『みんなのふこう』

若竹七海『みんなのふこう』葉崎シリーズ。 ちょっと今までの葉崎シリーズとは違った作風。 とにかく面白い!そして読んでて元気がでる! 何といっても強烈な不運パワーの持ち主こころちゃんの あまりに天然前向きな個性が強烈で、一気読みしちゃいました。 …

麻耶雄崇『隻眼の少女』

麻耶雄崇『隻眼の少女』 「さすが麻耶さん」というか、「やっぱり麻耶さん」というか。 なかなかの破壊力でございました。 あの『夏と冬の奏鳴曲』を読んだ時以来でしょうか、この気持ち。 そしてあの『神様ゲーム』を読んだ時以来でしょうか、ラストの不快…

P・G・ウッドハウス『ウースター家の掟』

P・G・ウッドハウス『ウースター家の掟』 国書刊行会版ウッドハウスコレクション第4弾。長編。 前回『それゆけ、ジーヴス』で、やっぱりこのシリーズは短編がいい と書きましたが、それは撤回します。今回は本当に面白かった! プッと吹き出して笑っちゃ…

奥泉光『シューマンの指』

奥泉光『シューマンの指』 奥泉さんの書かれる文章が好きで 今回の作品もかなり期待大でした。 タイトルにシューマンが入ってるので予想はしてたけど まさかここまでシューマンが核になっていようとは! 主人公のシューマンへの狂おしい情熱が 奥泉さんの筆…

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』

東川篤哉『謎解きはディナーのあとで』 デビュー以来大好きな東川作品に、新たなヒーロー誕生! 辛辣で頭脳明晰な執事・影山と超お嬢様で新米刑事の宝生麗子が 6つの事件で楽しませてくれます。 東川作品すべてにおいて言えることだけど いつもながらに会話…

コリン・デクスター『森を抜ける道』

コリン・デクスター『森を抜ける道』 モース主任警部シリーズ第10弾。長編。 英国推理作家協会賞ゴールド・ダガー賞受賞作品。 読書中は面白いながらも、なぜこれが受賞作品? という気持ちもムクムク。 もっと迷走・ぶっ飛びの推理で 真相が二転三転どこ…

A・クリスティ『満潮に乗って』

A・クリスティ『満潮に乗って』 ポアロ物。長編。 ポアロ物にしてはあまりに地味なタイトルで ノンシリーズかと思ってました。 読後、内容はまさにタイトル通りと実感でき このタイトルの良さが味わえるんですヨ。訳者、巧い。 そして今回も恋愛要素はバッ…

米澤穂信『ふたりの距離の概算』

米澤穂信『ふたりの距離の概算』 古典部シリーズ第5弾。長編。 奉太郎達も2年生に進級。 新入生の大日向さんの古典部入部を巡って 奉太郎がマラソン大会を走りながら推理していく内容。 大きな事件がある訳でもなく、本当に些細なことを これだけの長編に…

近藤史恵『薔薇を拒む』

近藤史恵『薔薇を拒む』 まるでドラマを観ているような、映像化したら美しい作品。 ちょっと斜に構えたワル風な美少年と優等生の美少年。 お屋敷。お金持ちのご主人。高慢な奥様。美しいお嬢様。 過去の愛憎劇も含めて、共感できる人物が一人もいなかったの…

歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』

歌野晶午『密室殺人ゲーム2.0』 前作同様、不謹慎かも知れないけど面白い。 もう夢中で読んじゃいました。 前作の衝撃的なラストが記憶に新しいので 本作では、最初は彼等の会話にかなり戸惑いました 途中で真相が明かされて納得。 なるほどね、やっぱり歌野…