宮部みゆき『ばんば憑き』

短編集。
私の中では、時代小説を書かせたら宮部さんの右に出る者はいない、
と常日頃から考えてるのですが、前作『あんじゅう』といい、
この『ばんば憑き』といい本当に巧い作家さんです。
人の心の闇と怖さ、業の深さも
市井に生きる人達の暮らしぶりや人情に触れると
例え残酷で怖い内容であっても、読後がとてもいいんです。
妖しい物より恐ろしいのは人のこころ。
でもそれを癒してくれるのも人のこころ。
これ読んで実感して下さい。

今回は『ぼんくら』シリーズのおでこちゃんと政五郎さんが
そして『あんじゅう』に登場して気になってた青野先生も登場。
さらに茂七親分まで！何年会ってなかったんだろうってくらいに懐かしい！
これはかなり嬉しいファンサービスですね。
宮部さんにしては他作品とのリンクってとても珍しいので、得した気分です。