A・クリスティ『ゼロ時間へ』


ゼロ時間へ (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


バトル警視シリーズ。
推理小説といえば、殺人が起こった時点から始まるイメージありますが
この作品では「殺人は結果である。物語はそのはるか以前から始まっている。
すべてがある点に向かって集約していく・・・そしてその時にいたる
・・・クライマックスに!そう、すべてがゼロ時間に集約されるのだ」
という登場人物の言葉通りにストーリーが展開されます。
そう、ひたすらゼロ時間に向かって!
ということで最初は延々とそのゼロ時間に向けての伏線を読んでいくのですが
ここらの人間関係の描き方の巧いこと!してやられた感たっぷりですよ。
ああ、何て私は単純なんだ。本当にすっかり騙されました。
しかもこの犯人、本当に執念深くて読んでて辟易とします。
最後のカップル誕生は苦笑。あまりにも安易じゃん!と少々憤慨したものの
当時にしてはこの構成、かなり度肝抜いたでしょうね。
たっぷり楽しめた1冊です。