京極夏彦『邪魅の雫』


邪魅の雫 (講談社ノベルス)


京極堂シリーズ最新刊。
読了後の余韻が何とも切なく、800ページを越える作品を
読了した虚脱感でしばらく放心状態でした。
そしてじわじわ〜と響いてくるこのラスト!
いやー、切なくてきついけれどこれは絵になるわぁ。
というかこの人物がこんなこと言うなんて!
これが本作品での一番の衝撃です。


ところで今回は真相が明らかにされる場面ですら、
人物名に混乱している私。視点が変わるのはついていけるのですが、
その人物の世界観の変化にはなかなかついていけませんでした。
これメモとりながら読んでおけば良かったです。
そして面白かったのが京極堂による「書評論」。
ま、それが読書の楽しさでもあるんだし、
自由に想像しちゃっていいんですよね。


本作品では、大好きなあの人があの人らしくなかったのが悲しかったけど
今後思わぬ人物に思わぬ過去があったりと、このシリーズも
さらに変容を遂げていきそうですね。
ただ関口君の鞄に例えたセリフは、『哲学者の密室』でバルベスが
まともなこと言う以上のショックはあったかも知れませんが(笑)。