2010-01-01から1年間の記事一覧

京極夏彦『続巷説百物語』

再読。 「野鉄砲」「狐者異」「飛縁魔」「船幽霊」 「死神〜或は七人みさき〜」「老人火」の6篇から成ります。 又市、おぎん、治平、百介を軸にさらに新たなキャラも加わり また、時系列が『巷説』と互い違いになってるので それを意識して読むと尚面白いで…

京極夏彦『巷説百物語』

再読。 一度読んでるのに何でこんなに面白い! 又市、おぎん、治平、百介の役割をわかった上で 一から読み直すと、以前は『続巷説百物語』と比べて 地味な印象しかなかった「巷説百物語」がやたら面白い。 百介側からしかわからなかった仕掛けが 最後の全体…

京極夏彦『死ねばいいのに』

珍しく薀蓄が出てこないのでするすると読めます。 主人公渡来健也が何ともつかめない人物。 亡くなった亜佐美の関係者に彼女のことを知りたくて 話しを聞いて歩いてるのですが その目的がさっぱりわからない。 本当に彼女のことを知りたいだけなのか? ここ…

A・クリスティ『忘られぬ死』

ノンシリーズ。ローズマリーが亡くなって1年。自殺と処理されたのだが 夫が徐々に疑問に思い、真相を探るべくある罠を仕掛けるのですが・・・。 今回はポアロもマープルも登場しないけど レイス大佐やケンプ主任警部(バトル警部の元部下)が登場するので …

近藤史恵『エデン』

『サクリファイス』の続編。 前作以上の面白さでした。 活字を読んでるのに、鮮やかに映像が浮かんできて ドラマ性のある内容に一気読みです。満足〜。 スポンサー頼みのプロスポーツの厳しさ。人種的な問題など ドロドロした物が底辺に漂ってるのに、読後感…

A・クリスティ『五匹の子豚』

ポアロもの。過去に有罪判決を受けたカロリンはその後獄死してしまい 16年後、母の無罪を信じた娘カーラがポアロに事件の再調査を依頼します。事件に関係している5人の一人一人に、マザーグースの『五匹の子豚』 を当てはめてるポアロですが、事件とは直…

京極夏彦『豆腐小僧双六道中ふりだし 本朝妖怪盛衰録』

[rakuten:book:11221402:image] 私は誰、此処は何処? 豆腐小僧が自分の存在意義に悩みながら 成り行きでどんどん騒動に巻き込まれていく様子が 軽妙に語られています。軽妙なのでするする読めるし 様々な妖怪の存在理由には目から鱗! 妖怪という実態のない…

コリン・デクスター『オックスフォード運河の殺人』

長年の不摂生がたたって、ついにモース主任警部が入院するハメに。 そこで偶然手にした過去の事件に関する1冊の(自費出版した)書物。 退屈しのぎに読み始めたモースでしたが、その内容はかつて本当の起こった事件でタイトルはそのものずばり!「オックス…

近藤史恵『ヴァン・ショーをあなたに』

近藤史恵『ヴァン・ショーをあなたに』 『タルト・タタンの夢』に続く、ビストロ・パ・マルの物語第2弾。 とても気楽に読める作品です。そしてまたまた美味しそうな料理の数々! この作品を読むのは、食べたこともないようなお料理に出会えるというのも 魅…

歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り 』

歌野晶午『密室殺人ゲーム王手飛車取り 』 凄い作品。登場する5人の名前と性格を覚えるのに手間取りそうな 予感しましたが、何の何の、するするとこの世界に入っていけました。 この作品を面白いと断言したら不謹慎かも知れないけれど やっぱり面白い。ゲー…

A・クリスティ『白昼の悪魔』

A・クリスティ『白昼の悪魔』 ポアロもの。のどかな避暑地での残酷な殺人事件。 またしても殺人事件に巻き込まれてしまったポアロは 灰色の脳細胞をフル活動させて事件を解決していくのですが 今回はアリバイ崩しが中心となります。 どうやって犯行時間を作…

近藤史恵『タルト・タタンの夢』

近藤史恵『タルト・タタンの夢』 ビストロ・パ・マルを舞台にした連作短編集。 こじんまりとしたフランスの家庭料理を食べさせてくれるフレンチレストラン。 お値段は高くないとはいえ、決して安いわけではない。 でもぜひぜひ行って食べたくなるお料理が数…

道尾秀介『鬼の跫音』

道尾秀介『鬼の跫音』 短編集。全編を通して登場するのがSという人物とカラス。 どの作品も胸がザワザワして、落ち着かない気持ち。 ストレートな怖さ、ひたひたと後ろから押し寄せる怖さ 色んな怖さを感じながら、1つ1つの蝋燭を吹き消す気持ちで読みま…

柴田よしき『竜の涙』

柴田よしき『竜の涙』 前作『ふたたびの虹』を読んだのがかなり前だったけれど このおばんざい屋さんの出す料理と清水との関係は 読み出すとすぐに思い出されました。 料理と店の雰囲気、女将の人柄、どれも読んでて気持ちが 和んでくるので、怖い作品の後に…

近藤史恵『モップの魔女は呪文を知っている』

近藤史恵『モップの魔女は呪文を知っている』 キリコちゃんシリーズ3冊目。 ああ〜やっぱりこのシリーズいいなぁ! これと猿若町シリーズは甲乙つけ難いくらい好きなシリーズで 何度でも読み返したくなります。ただし、キリコちゃんシリーズは 読むたびに「…

A・クリスティ『魔術の殺人』

A・クリスティ『魔術の殺人』 ミス・マープルもの。今回の舞台はセント・メアリ・ミード村ではなく、 マープルの学生時代である友人・キャロラインの自宅。 超大金持ちのキャロラインは自宅で非行少年達の厚生施設を運営しており その夫ルイスは極端な理想…

A・クリスティ『愛国殺人』

A・クリスティ『愛国殺人』 ポアロもの。 怖い物などなさそうなポアロが、憂鬱そうに歯科医院に 出掛ける様子はなかなかかわいい。 と思っていたら、その担当医がその日のうちに自殺。 殺される原因も自殺する原因も見つからない。 さらにポアロの後にその…

道尾秀介『龍神の雨』

道尾秀介『龍神の雨』 血の繋がらない親と暮らす、2組の兄弟、兄妹。 死へのちょっとした疑惑がどんどん膨らんで・・・。 読んでてどーんと気持ちが落ち込みます。 私にはちょっと苦手かも。 ミステリ的にもわかりやすい伏線で 逆に興ざめしてしまった仕掛…

米澤穂信『追想五断章』

米澤穂信『追想五断章』 これは面白い!凄く好みでした。 装丁とタイトルと文章や構成の渋さ、すべてがしっくりとして、 1つの素晴らしい作品を完成させてます。 特に作中に含まれている5作のリドルストーリーの後味の悪さ! そして収束された時に、それら…

米澤穂信『儚い羊たちの晩餐』

米澤穂信『儚い羊たちの晩餐』 「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘話」 「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」の5編から成り ラスト1行での衝撃に徹底的にこだわった連作短編集です。 すべてに「バベルの会」という読書の会が登場し…

島田荘司『最後の一球』

島田荘司『最後の一球』 御手洗潔も関内の馬車道にいる頃の話。 この時期の御手洗が大好きなので、もう夢中で読んじゃいました。 途中から私の思惑とはどんどんずれていきますが 着地点がわかってるので、あとはその軌跡を楽しんでる感じ。 さすがに読ませる…

篠田真由美『玄い女神』

篠田真由美『玄い女神』 建築探偵シリーズ第2弾。10年前にインドで起こった殺人事件の真相を 桜井京介に託す狩野都。カリ(狩野都)の存在が あまりに大きくて、京介も蒼も印象薄いです。 カリで始まり、カリで終わる。 まだシリーズ2冊目なのに、篠田さ…

A・クリスティ『殺人は容易だ』

A・クリスティ『殺人は容易だ』 ノンシリーズ。 小さな村で起こっている連続殺人に、唯一気付いたピンカートン。 これをロンドン警察に通報する直前にひき逃げで殺害される。 しかしこれも事故と処理され・・・。 主人公は元植民地警察官ルークという、何気…

A・クリスティ『杉の柩』

A・クリスティ『杉の柩』 ポアロ物。大好きなポアロ物の中でも私のベスト3に入るくらいに面白かったです! タイトルは地味なのに、小説がドラマチックでお薦めです。 作品は、主人公エリノアが殺人容疑で起訴された法廷シーンから始まり、 過去を回想する…

東川篤哉『もう誘拐なんてしない』

東川篤哉『もう誘拐なんてしない』 ノンシリーズ。 ひょんなことからヤクザの組長の娘・絵里香にに協力して 狂言誘拐をすることになった翔太郎。彼視点と絵里香の姉皐月視点で 語られていく。誘拐事件、偽札事件、殺人事件と色んな事件が絡みあって・・・。 …

A・クリスティ『死との約束』

A・クリスティ『死との約束』 ポアロ物。長編。中近東シリーズ。 「いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ」 という冒頭の一文が印象的。これでグイっと作品に引き込まれました。 後にこの発言をした人物がボイントン家の次男レインモンドと判…

ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』

ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』 ライムシリーズ『ウォッチメイカー』に登場した キャサリン・ダンスが主人公となるシリーズの第1弾。 今回はお義理程度にライムとアメリア登場。 もっと絡み多いと嬉しいな、と思いました。 というか彼ら…

伊坂幸太郎『あるキング』

伊坂幸太郎『あるキング』 今までの伊坂作品とはちょっと空気の違う作品。 でもやっぱり伊坂ワールドが随所に感じられました。 どんどん映画化されて、会話も軽妙で映像向きだった 他作品と比べて、シェイクスピアの『マクベス』を意識した 本作品。登場する…

パットマガー『被害者を捜せ!』

犯人がわかっていて、その被害者を考えていくという逆バージョンの 本格ミステリ。パット・マガーのデビュー作品です。犯人のステットスンを巡る人間関係が中心に語られるのですが 読めば読むほど、ステットスンと周りの人間との軋轢が感じられる内容で いつ…

A・クリスティ『未完の肖像』

A・クリスティ『未完の肖像』 ノンミステリ。 主人公シーリアの自立しないで夫に寄りかかってる 性格にイライラしながら読んでました。 全く共感できないし、やっぱり恋愛小説は苦手かなぁ。 クリスティの描くミステリ作品内での恋愛部分は好きなんですがね…