パットマガー『被害者を捜せ!』

被害者を捜せ! (創元推理文庫 (164‐2))


犯人がわかっていて、その被害者を考えていくという逆バージョンの
本格ミステリ。パット・マガーのデビュー作品です。

犯人のステットスンを巡る人間関係が中心に語られるのですが
読めば読むほど、ステットスンと周りの人間との軋轢が感じられる内容で
いつ事件が起こってもおかしくない状態。
どっちかというと、ステットスンは犯人というより殺される側だと
思うのだけど、実は読み進めると・・・。巧いなぁ。
語っているロビンズは事件そのものを知らないために
彼が知りうる限りの人間関係を中心とした内容なんです。
あてずっぽう的な推理で被害者を当てるのかと思いきや
きっちり根拠のある推理が披露されて、満足いく内容でした。
アリバイやトリックといったミステリの醍醐味がなくても
ミステリ好きが夢中になれる作品でした。満足。