伊坂幸太郎『あるキング』

伊坂幸太郎『あるキング』


あるキング


今までの伊坂作品とはちょっと空気の違う作品。
でもやっぱり伊坂ワールドが随所に感じられました。
どんどん映画化されて、会話も軽妙で映像向きだった
他作品と比べて、シェイクスピアの『マクベス』を意識した
本作品。登場する3人の魔女と同じセリフ
「きれいはきたない きたないはきれい」
が、この作品の芯となる部分かなと思いながら読み進めました。
きれい、きたない、という相反する状態は、同じ物を見ても
見る人によって全く違った感じ方をすることもあります。
野球の天才と誰もが認めて産まれた山田王求も、
その天分が幸せだったのか不幸だったのか。
最後にある人物と出会って王求が笑顔になる場面が
私をほっとさせてくれました。