米澤穂信『儚い羊たちの晩餐』

米澤穂信『儚い羊たちの晩餐』



儚い羊たちの祝宴



「身内に不幸がありまして」「北の館の罪人」「山荘秘話」
「玉野五十鈴の誉れ」「儚い羊たちの晩餐」の5編から成り
ラスト1行での衝撃に徹底的にこだわった連作短編集です。


すべてに「バベルの会」という読書の会が登場していて
最後にその会の参加資格が明らかにされますが
なるほど〜そうだったのか!と納得するためにも
表題作は最後に読むのがいいですね。


この作品、特に語り口の丁寧さと対照的なブラックさが秀逸です。
とんでもなくお金持ちの旧家のお嬢さんや
そこの使用人たちの語り口が淡々としている分、読んでて怖いです。
ラスト1行を読んで、タイトルの意味に愕然とた作品もありますが
とんでもないことを思いつく作家さんだなぁ、と逆に感心しちゃいました。
表題作に登場するアミルスタン羊は、読者の想像力を掻き立て
私達を恐ろしい世界に引き込みます。
巧い並び順ですね。やっぱり米澤さんのブラックさは大好き!
またこういう作品あれば、是非読みたいです。