近藤史恵『演じられた白い夜』

演じられた白い夜 (Jノベル・コレクション)


吹雪の山荘での殺人事件という大好きな設定の上
劇中劇がまた緊張感漂う内容で、大変楽しめる作品でした。
劇中劇と現実を交互に読んでいくのですが、両方の犯人を
見つける楽しみがあってお得な1冊かも知れません。
途中、ある作家さんの作品と同じトリックか?
という予想も見事に玉砕。密度の濃い作品でした。
台本が少しずつ渡されて、「被害者役=舞台の出番がそれ以上ない」
というのは舞台人にとって、どれだけ精神的に追い詰められるか
舞台人のギリギリの緊張感と演出家というのやりとりも楽しめる1冊でした。
近藤さんって、人間の心理状態を描くの、やっぱりうまいですね。