宮部みゆき『ソロモンの偽証』
宮部みゆき『ソロモンの偽証』
第1部「事件」
第2部「決意」
第3部「法廷」
全3巻、2000ページを超える大作は
人物描写を丁寧に書き込んだ宮部作品だからこその量。
もっと読みたい人物や背景が次から次へと浮かんでくる。
ここが宮部さんの巧いところなんだな。
ただし気になったのが帯の文句。
あまり余計なこと書かないで欲しいな。
ラストは誰もが想定する範囲内なんで
あまり意外性を煽る宣伝文句はやめて欲しい。
そこに至るまでの経路に興味あるんだから。
翻訳小説で、裁判の公判部分が
延々と登場する作品を読むことはたまにあるけれど
国内作品で、ここまで裁判を主にした作品は
初めてだったので、とても新鮮な印象。
しかも裁判を行うのが中学生なので
やたらとわかりやすい。
誰もが納得できる終わり方で
読後感は一見いいような感じもする。
ただ、ある一人の少女とその家族のことを考えると
いつまでも胸に突き刺さった悲しみは残る。