ドロシー・L・セイヤーズ『殺人は広告する』

ドロシー・L・セイヤーズ『殺人は広告する』


殺人は広告する (創元推理文庫)


いやいや、これはなかなかに面白いっ!
冒頭からいつもと違う演出。
雑然とした広告会社内部が活き活きと描かれていて、
当時の広告業界の内幕をのぞけるなんて嬉しい限り。
しかもここで登場するコピーの巧いこと。
これだけでもピーター卿のファンは一読の価値ありって感じです。



私が気になるのはミートーヤード嬢。
もうこの先、彼女が本シリーズに登場することはないんでしょうね。
聡明な彼女にまた会いたくてしょうがありません。


事件に関しての決着の仕方はピーター卿らしいですね。
途中、彼がかなり悪ノリしてる気もするんだけど
私的には女子社員の噂がなかなかに面白く、例えバンターの登場がなくても
何度でも読みたい気を起こさせる、そんな楽しい作品でした。
難を言えば、バンターの登場がないことくらいでしょうか。