島田荘司『写楽 閉じた国の幻』


写楽 閉じた国の幻

東洲斎 写楽については、大した知識もなかった私は
その正体が200年もの長きに渡って未だに謎だ、
ということも知りませんでした。
だから本作品が面白いの何のって!
乾いたスポンジが水を吸収するように
ぐいぐい読みました。これ、本当に面白かった!
このミス2位というのも大きく肯けます。
しかし大きな謎解きに挑んだんですね、島田さん!


写楽の謎に関する考察は、圧倒されました。
様々な人物名が出て、最終的に考えた考察はビックリ!
この考察なら当時の絵師や蔦屋重三郎
写楽に関して正体を明かすこともできず
さらに東洲斎写楽という名前にも納得できます。
完全に洗脳された私には、あらゆる条件がクリアーされて
もうこれしかないって思えてくるんです。
さらに江戸編がべらぼうに面白いので、
その思いはいよいよ強くなります。
登場人物では、蔦屋重三郎という人物の気概に感動しました。


ただ一つ不満があるとすれば、あとがきにあったように
現代編で気になる謎が残ったということ。
これはページ数の関係で書けなかったそうなので
あとは続編を待つのみですね。期待してます。
島田さんの説が正しいかどうか、
これから写楽関係の記事を見たり聞いたりする
楽しみが増えました。島田さんに感謝!です。