A・クリスティ『もの言えぬ証人

A・クリスティ『もの言えぬ証人』


もの言えぬ証人 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)


ポアロもの。
ある婦人から届いた1通の手紙。
例によってヘイスティングは取るに足りない1通と感じますが
ポアロの灰色の脳細胞はその手紙に不信を抱き、
その手紙の主を訪ねます。するとその女性はすでに病死してました。
依頼者はいないし、死亡原因も病死ということでおかしな点が
全然ないにも関わらずポアロがこだわるのは、彼女が莫大な遺産を
身内に残さずに付き添い女に残したという点。
しかも直前に書き換えられた遺言書!
この設定だけでも引き付けられるのに、書き出しの文章がまた秀逸!
ぜひこの作品を手にとって下さい、とお勧めしたくなります。
依頼者が死んで得になるのは誰か?遺言書の書かれた時期は?
機会があったのは誰か?
捜査中のポアロの口八丁手八丁な行動が笑えます。